RESPIRATORY & GENERAL MEDICINE COLUMN
息苦しさ・ゼーゼーは
呼吸器内科?循環器内科?
「息苦しい」「ゼーゼーする」「咳が続く」といった症状は、
喘息やCOPDなどの呼吸器疾患でみられます。
一方で、心不全、不整脈、虚血性心疾患などの循環器疾患でも、
よく似た症状が出ることがあります。
どちらを受診すべきか迷う方のために、症状の見分け方を整理します。
呼吸器疾患
長引く咳、痰、喘鳴、喫煙歴、風邪後に続く咳では、
喘息・咳喘息・COPDなどを考えます。
循環器疾患
足のむくみ、急な体重増加、胸痛、動悸、心房細動の既往では、
心不全や不整脈を考えます。
両方が関係することも
COPD、睡眠時無呼吸症候群、高血圧、心房細動などでは、
呼吸器と循環器の両面から考える必要があります。
当院は呼吸器内科クリニックです。
心エコーや即日のBNP/NT-proBNP検査は行っていないため、
心不全や不整脈が疑われる場合には、循環器内科・総合病院へ適切に紹介しています。
呼吸器の病気と心臓の病気は、症状が似ることがあります
喘息、COPD、肺炎などの呼吸器疾患でも、
心不全、不整脈、狭心症などの循環器疾患でも、
「息苦しい」「ゼーゼーする」「咳が出る」といった症状がみられることがあります。
特に高齢の方、喫煙歴がある方、高血圧や心房細動がある方では、
呼吸器と循環器の両方が関係していることもあります。
「ゼーゼー=喘息」とは限りません
心不全でも、肺に水分がたまる肺うっ血によって、
喘鳴、咳、息苦しさが出ることがあります。
いわゆる「心臓喘息」と呼ばれる状態です。
ただし、これは気管支喘息そのものではありません。
原因も治療も異なるため、見分けが重要です。
こういう症状なら、まず呼吸器内科を考えます
呼吸器疾患を考えやすい症状
- 長引く咳
- 夜間〜早朝の咳
- 喘鳴、息を吐きづらい感じ
- 痰が多い
- 風邪の後に咳だけ残る
- 花粉・黄砂・季節変動で悪化する
- 喫煙歴がある
- 吸入薬で改善する
- 重症喘息・COPD増悪・肺炎などで横になると苦しい
呼吸器内科で考える病気
- 気管支喘息
- 咳喘息
- COPD
- 感染後咳嗽
- アトピー咳嗽
- 肺炎
- 副鼻腔炎関連咳嗽
- 間質性肺炎
- 胸水
当院で行う呼吸器評価
当院では、胸部X線、SpO2、呼吸機能検査、FeNOなどを用いて、
喘息、咳喘息、COPD、肺炎などを評価します。
ただし、心不全や不整脈が疑わしい場合には、
循環器内科での心エコーやBNP/NT-proBNPなどの評価が必要になります。
こういう症状なら、循環器内科を考えます
心不全・不整脈を考える症状
- 横になると苦しい、座ると楽になる
- 夜中に息苦しくて起きる
- 足のむくみ
- 急な体重増加
- 胸痛・胸部圧迫感
- 動悸
- 失神・強いふらつき
背景として重要なもの
- 高血圧
- 心房細動
- 弁膜症
- 狭心症・心筋梗塞歴
- 慢性腎臓病
- 糖尿病
- 高齢
- 過去に心不全と言われたことがある
起坐呼吸は心不全で重要ですが、呼吸器疾患でも起こります
「横になると苦しい」「座ると楽になる」は心不全で重要な症状です。
ただし、重症喘息、COPD増悪、肺炎、胸水などの呼吸器疾患でも起こることがあります。
そのため、この症状だけで決めつけず、
むくみ、急な体重増加、胸痛、動悸、既往歴、胸部X線などをあわせて判断します。
明らかに心不全が疑わしい場合は、循環器内科が適しています
足のむくみが強い、急に体重が増えた、
胸痛や動悸がある、心房細動や心不全を指摘されたことがある場合は、
循環器内科での評価が適しています。
当院では心エコーや即日のBNP/NT-proBNP評価は行っていません。
心不全が疑わしい場合には、近隣の循環器内科・総合病院へ紹介しています。
呼吸器内科か、循環器内科か迷うとき
| 症状・背景 | 呼吸器内科を考えやすい | 循環器内科を考えやすい |
|---|---|---|
| 咳 | 長引く咳、風邪後の咳、夜間〜早朝の咳、花粉・季節変動 | 横になると咳が悪化、泡っぽい痰、急な息切れを伴う |
| 息切れ | 喫煙歴、痰、喘鳴、息を吐きづらい、COPD・喘息の既往 | 足のむくみ、急な体重増加、心疾患の既往、胸痛、動悸 |
| 横になると苦しい | 重症喘息、COPD増悪、肺炎、胸水などでも起こります | 心不全で重要な症状です。むくみ・体重増加・心疾患既往を伴う場合は特に注意します |
| ゼーゼー | 喘息、COPD、気道感染後、吸入薬で改善する | 心不全による肺うっ血でも喘鳴が出ることがあります |
| むくみ | COPDに伴う右心負荷ではみられることがありますが、頻度としては循環器評価が重要です | 右心不全、左心不全、腎疾患、静脈疾患などを考えます |
| 検査 | 胸部X線、SpO2、呼吸機能検査、FeNO | 心電図、心エコー、BNP/NT-proBNP、循環器専門評価 |
迷う場合でも、胸痛、失神、強い動悸、急激な呼吸困難がある場合は、
早めに救急対応や循環器評価を検討してください。
COPDでも息苦しさ・ゼーゼーは起こります
息苦しさやゼーゼーは、喘息だけでなくCOPDでも起こります。
特に喫煙歴がある方、階段や坂道で息切れする方、痰が多い方では、
COPDを考える必要があります。
COPDでは、気道が狭くなり、息を吐き出しにくくなります。
そのため、労作時息切れ、喘鳴、痰、増悪時の強い呼吸困難がみられます。
COPDと心不全は併存することがあります
COPDがある方でも、息切れの原因がすべて肺とは限りません。
左心不全、右心不全、肺高血圧、貧血、廃用、睡眠時無呼吸症候群などが重なることがあります。
「以前からCOPDと言われているから、今回の息切れもCOPDだろう」と決めつけないことが大切です。
COPDと右心不全・肺性心
COPDが進行すると、肺の血管に負担がかかり、
肺高血圧や右心不全を来すことがあります。
かつて「肺性心」と呼ばれていた状態です。
足のむくみ、腹部膨満、頸静脈怒張、肝腫大などが手がかりになることがあります。
この場合は、呼吸器だけでなく循環器の評価も重要です。
心不全にも種類があります
心不全は一つの病名というより、
心臓のポンプ機能や拡張機能がうまく働かず、
肺や全身に負担が出ている状態です。
HFrEF
左室駆出率が低下した心不全です。
心筋梗塞後、拡張型心筋症などでみられます。
心臓の収縮力が落ちている状態です。
HFpEF
左室駆出率は保たれていても、
心臓が硬くなり、肺うっ血や息切れを起こす心不全です。
高齢、高血圧、心房細動、肥満、糖尿病で多くみられます。
右心不全
肺高血圧や慢性肺疾患に伴って右心系に負担がかかることがあります。
足のむくみ、腹部膨満、頸静脈怒張などが手がかりになります。
HFpEFは「心臓の収縮力が正常だから大丈夫」とは言えません
高齢者、高血圧、心房細動、肥満、糖尿病がある方では、
心臓の収縮率が保たれていても息切れを起こすHFpEFが問題になることがあります。
HFpEFの評価には、心エコーやBNP/NT-proBNPなどが重要になるため、
循環器内科での評価が適しています。
胸部X線で分かることがあります
胸部X線は、呼吸器と循環器の両方を考えるうえで重要な検査です。
喘息
喘息では胸部X線がほぼ正常のことも少なくありません。
X線が正常でも喘息や咳喘息を否定できません。
COPD
肺の過膨張、横隔膜平坦化、肺野の透過性亢進などがみられることがあります。
心不全
心拡大、肺うっ血、胸水、Kerley線などがみられることがあります。
ただし、胸部X線だけで確定診断できるわけではありません。
症状、診察、SpO2、既往歴、心電図、血液検査、心エコーなどを組み合わせて判断します。
睡眠時無呼吸症候群(SAS)も関係することがあります
SASは、呼吸器だけでなく循環器にも影響する病気です。
呼吸器との関係
- 夜間・早朝の咳
- 喘息悪化
- COPDとの合併
- 睡眠の質低下
循環器との関係
- 高血圧
- 心房細動
- 心不全
- 脳卒中リスク
いびき+高血圧+息切れではSASも考えます
日中の眠気、いびき、肥満、高血圧がある方では、
SASが背景にあることがあります。
当院では、睡眠時無呼吸症候群の簡易検査に対応しています。
よくある質問
Q.ゼーゼーしているなら喘息ですか?
必ずしもそうではありません。
喘息やCOPDでもゼーゼーしますが、心不全による肺うっ血でも喘鳴が出ることがあります。
Q.横になると苦しいのですが、喘息でしょうか?
喘息でも夜間に悪くなることはあります。
「横になると苦しい」「座ると楽になる」は心不全で重要な症状ですが、
重症喘息、COPD増悪、肺炎、胸水などの呼吸器疾患でもみられます。
Q.COPDでも心不全になりますか?
COPDが進行すると、肺高血圧や右心不全を来すことがあります。
また、COPDの方に左心不全やHFpEFが合併することもあります。
Q.当院で心不全の検査はできますか?
当院では胸部X線やSpO2などの評価は行いますが、
心エコーや即日のBNP/NT-proBNP検査は行っていません。
心不全が疑われる場合には、循環器内科・総合病院へ紹介しています。
Q.呼吸器内科と循環器内科、どちらを受診するか迷います。
長引く咳、痰、喘鳴、喫煙歴、風邪後に続く咳が中心なら、呼吸器内科を考えます。
一方で、足がむくむ、急に体重が増えた、
胸痛、動悸、心房細動や心不全の既往がある場合は、循環器内科での評価が適しています。
院長より
息苦しさやゼーゼーという症状は、呼吸器の病気でも心臓の病気でも起こります。
当院は呼吸器内科クリニックとして、喘息、咳喘息、COPD、肺炎、SASなどを中心に評価しています。
一方で、足がむくむ、急な体重増加、胸痛、動悸などがある場合には、
心不全や不整脈を考える必要があります。
当院では心エコーなどの循環器専門検査は行っていません。
そのため、心不全が疑わしい場合には、近隣の循環器内科・総合病院へ紹介しています。
呼吸器内科で診るべき症状か、循環器内科で診るべき症状かを整理することも、
地域の内科診療では大切な役割だと考えています。
RESPIRATORY MEDICINE
長引く咳・息苦しさでお困りの方へ
喘息、咳喘息、COPD、感染後咳嗽、睡眠時無呼吸症候群(SAS)など、
呼吸器専門医による診療を行っています。
心不全や不整脈が疑われる場合には、
循環器内科・総合病院へ適切に紹介しています。

