COLUMN / FUKUOKA COUGH & SPRING AIR IRRITANTS
福岡で「黄色い粉」と咳症状が増えています
最近(2026年GW以降)、福岡市内で「車が黄色く汚れる」「喉がイガイガする」「咳が続く」といった相談が増えています。
黄砂の時期とは少しずれているにもかかわらず、フロントガラスやベランダに黄色い粉が付着しているという声もみられます。
一部では、マツ花粉の大量飛散の可能性も指摘されています。
福岡市内、とくに海沿いの百道・百道浜周辺には松並木も多く、
地域的な飛散環境が影響している可能性も考えられます。
ただし、現時点で「原因はマツ花粉」と断定できるわけではありません。
黄砂、PM2.5、花粉、気温変化、気道過敏など、
複数の要因が重なっている可能性があります。
福岡市早良区高取、藤崎駅・西新駅周辺から通いやすい呼吸器内科です。
福岡で相談増加
最近、「黄色い粉」と咳・喉症状についての相談が実際に増えています。
原因は一つではありません
黄砂、PM2.5、花粉、気道過敏など、複数の要因が重なっている可能性があります。
長引く咳は注意
咳喘息や喘息など、単なる刺激症状以外が隠れていることがあります。
本コラムは一般的な医学情報です。実際の診断や治療は、症状、診察所見、呼吸機能検査、FeNO、画像検査などを踏まえて個別に判断します。
最近、福岡で「黄色い粉」と呼吸器症状の相談が増えています
最近の福岡では、
「車が黄色くなる」
「ベランダに黄色い粉が積もる」
「黄砂ではないのに喉が痛い」
「咳が続く」
といった相談がみられます。
実際、診療の場でも、
咳、喉の違和感、鼻症状、喘息悪化などを訴える方が増えている印象があります。
黄砂だけでは説明しにくい時期です
例年の黄砂シーズンとはやや異なるタイミングで、
「黄色い粉」と呼吸器症状が話題になっています。
そのため、SNSなどではマツ花粉の可能性を指摘する声もみられています。
「黄色い粉」の原因は一つではありません
車や窓に付着する黄色い粉を見ると、
「黄砂では?」と感じる方は多いと思います。
しかし、春の大気環境では、
黄砂だけでなく、花粉、PM2.5、土壌粒子など、
複数の粒子が混在して飛散していることがあります。
黄砂
中国大陸の砂塵が飛来する現象です。
喘息や気道刺激症状との関連が知られています。
PM2.5
微小粒子状物質です。
気道炎症や喘息悪化に関与する可能性があります。
花粉
スギやヒノキだけでなく、季節によってさまざまな植物花粉が飛散します。
気道過敏
喘息や咳喘息の方では、粒子刺激に対して咳が出やすくなることがあります。
マツ花粉の可能性も指摘されています
一部の報道やSNSでは、
最近の「黄色い粉」の原因としてマツ花粉の可能性が話題になっています。
マツ花粉は、スギ花粉ほど典型的な花粉症原因として知られているわけではありません。
一方で、大量飛散時には目・鼻・喉への刺激感や咳症状に関与する可能性があります。
百道・百道浜周辺には松並木も多くみられます
福岡市の海沿い、とくに百道・百道浜周辺には松並木が多く、
地域的な飛散環境が影響している可能性も考えられます。
ただし、現時点で「原因はマツ花粉」と断定できる状況ではありません。
福岡のテレビ報道でも、耳鼻科医が「過去5年で最も多い」とコメントし、
マツ花粉の可能性について触れています(2026年5月15日TNC報道より)。
マツ花粉はどのくらい飛ぶのでしょうか
マツ花粉は粒子としては比較的大きい一方で、
大量に放出され、風によって比較的遠くまで運ばれることが知られています。
森林生態学や花粉飛散の研究では、
マツ属の花粉は近距離に多く落下する一方で、
数十〜数百m規模の飛散や、条件によってはさらに広い範囲への輸送も報告されています。
近くの植生の影響
松並木や公園など、周辺にマツが多い環境では、
風向きや天候によって局地的に花粉付着が目立つことがあります。
遠距離輸送の可能性
マツ花粉は大量放出されるため、
気象条件によっては、発生源から離れた場所でも検出されることがあります。
「近くの松だけ」とも「遠くからだけ」とも言い切れません
実際の付着量は、松の分布、風向き、海風、雨、地形、建物の配置などに影響されます。
したがって、百道・百道浜のように松並木が多い地域では、
局地的な影響と広域飛散の両方を考える必要があります。
マツ花粉症と検査について
マツ花粉によるアレルギー症状については、これまで「まれ」「アレルゲン性は強くない」と扱われることもありました。
しかし、海外の研究では、マツ花粉に対する感作や特異的IgE陽性例、他の花粉との交差反応性について報告されています。
つまり、マツ花粉がすべての咳や喉症状の原因になるわけではありませんが、
一部の方では、アレルギー反応や気道刺激に関与する可能性があります。
マツ花粉症は「検査だけ」で決まるものではありません
マツ花粉に対する特異的IgEは、血液検査で確認できる場合があります。
ただし、特異的IgEが陽性であっても、それだけで現在の咳や喉症状の原因と断定できるわけではありません。
逆に、検査が陰性でも、花粉や大気中粒子による刺激症状、咳喘息、喘息、後鼻漏などが関与していることがあります。
診断では、症状の時期、曝露状況、他の花粉・黄砂・PM2.5との関係、呼吸機能検査やFeNOなどを合わせて考える必要があります。
「咳」は花粉症だけでは説明できないことがあります
花粉症というと、
鼻水、くしゃみ、目のかゆみをイメージする方が多いと思います。
しかし実際には、
喉の違和感、咳、咳払い、胸のムズムズ感として現れることもあります。
後鼻漏
鼻水が喉に落ちることで、咳や咳払いが続くことがあります。
気道刺激
花粉や粒子刺激によって、喉や気道が敏感になり咳が出やすくなることがあります。
さらに、もともと喘息や咳喘息がある方では、
春の粒子刺激をきっかけに症状が悪化することがあります。
長引く咳では、咳喘息や喘息が隠れていることがあります
「風邪は治ったのに咳だけ続く」
「夜間や明け方に咳が出る」
「季節の変わり目に咳が悪化する」
という場合、
咳喘息や喘息が隠れていることがあります。
呼吸器症状は、
単なる「風邪」や「花粉症」だけで片付けられないことがあります。
とくに、
咳が数週間以上続く、
息苦しさを伴う、
運動で悪化する、
夜間に咳で目が覚める、
という場合には、呼吸器内科での評価が重要です。
受診を検討した方がよい症状
- 咳が2〜3週間以上続いている
- 夜間や明け方に咳が出る
- 息苦しさや喘鳴を伴う
- 花粉症の時期になると毎年咳が悪化する
- 運動や会話で咳き込む
- 咳止めだけでは改善しない
- 吸入薬が必要か気になっている
よくあるご質問
Q.最近の黄色い粉は黄砂ですか?
黄砂の可能性もありますが、花粉やその他の粒子が混在している可能性があります。
現時点で単一原因を断定できる状況ではありません。
Q.マツ花粉でも咳が出ますか?
大量飛散時には、喉や気道への刺激によって咳症状に関与する可能性があります。
また、一部ではマツ花粉への感作や特異的IgE陽性例も報告されています。
ただし、スギ花粉ほど典型的なアレルゲンとして扱われているわけではありません。
Q.マツ花粉は遠くまで飛びますか?
マツ花粉は近距離に多く落下する一方で、
風や気象条件によっては比較的遠くまで運ばれることがあります。
そのため、近隣の松並木だけでなく、広域的な飛散も考慮する必要があります。
Q.マツ花粉の検査はできますか?
血液検査でマツ花粉に対する特異的IgEを確認できる場合があります。
ただし、検査結果だけで現在の症状の原因を決めることはできません。
症状の時期、曝露状況、他のアレルゲンや黄砂・PM2.5との関係も合わせて判断します。
Q.花粉症でも咳が出ることがありますか?
鼻症状だけでなく、後鼻漏や気道刺激によって咳が続くことがあります。
Q.咳喘息との違いは何ですか?
咳喘息では、気道過敏性が高くなり、夜間・明け方の咳、季節変化での悪化などがみられることがあります。
必要に応じて呼吸機能検査やFeNOなどを行います。
院長より
最近の福岡では、
「黄色い粉」と咳症状について相談される方が増えています。
一部ではマツ花粉の可能性も話題になっていますが、
実際には黄砂、PM2.5、花粉、気道過敏など、
複数の要因が重なっている可能性があります。
マツ花粉は近くの松並木からだけでなく、
風や気象条件によって比較的広い範囲に飛散することがあります。
そのため、地域の植生と大気環境の両方を考える必要があります。
また、マツ花粉に対する特異的IgEを調べることは可能ですが、
検査結果だけで症状の原因を決めることはできません。
医学では、検査値は大切ですが、症状の出方、時期、環境、診察所見と合わせて考える必要があります。
咳症状は単なる刺激症状だけでなく、
咳喘息、喘息、感染後咳嗽などが隠れていることがあります。
「季節だから仕方ない」と我慢しているうちに、
咳が長引いたり、夜間症状が増えたりすることもあります。
長引く咳、息苦しさ、喘鳴などがある場合は、
呼吸器内科でご相談ください。
参考資料
-
TNCテレビ西日本:「黄色い粉」と呼吸器症状についての報道
-
Robledo-Arnuncio JJ, et al. Effective pollen dispersal in Mediterranean pines. Heredity. 2004.
-
Pyhäjärvi T, et al. High pollen-mediated gene flow in Scots pine. Heredity. 2011.
-
Marcos C, et al. Pinus pollen aerobiology and clinical sensitization. Allergol Immunopathol. 2001.
-
Gastaminza G, et al. Allergenicity and cross-reactivity of pine pollen. Clin Exp Allergy. 2009.
-
Domínguez-Ortega J, et al. Prevalence of allergic sensitization to conifer pollen. Clin Transl Allergy. 2016.
-
環境省:黄砂・PM2.5関連情報
-
日本アレルギー学会
-
GINA Global Initiative for Asthma
COUGH / SPRING RESPIRATORY SYMPTOMS
長引く咳や呼吸器症状についてご相談ください
春の咳症状は、花粉症だけでなく、
咳喘息や喘息などが関与していることがあります。
咳が長引く、夜間や明け方に悪化する、息苦しさを伴う場合は、
呼吸器内科での評価をご相談ください。

