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喘息の吸入薬と発作時の薬について

喘息や咳喘息の治療では、吸入薬を中心に複数の薬を使うことがあります。
そのため、「毎日吸う薬と苦しい時に使う薬の違いが分からない」「ブデホルとメプチンは一緒に使ってよいのか」など、薬の使い方で迷われる方も少なくありません。

このページでは、喘息治療でよく使われる吸入薬と発作時の薬について、患者さん向けに整理します。
ただし、薬の使い方は病状、年齢、処方意図、併存疾患によって異なります。
自己判断で増量・中止せず、処方された使い方を確認することが大切です。

福岡市早良区高取、藤崎駅・西新駅周辺から通いやすい呼吸器内科です。

毎日使う薬

喘息の気道炎症を抑え、発作を起こしにくくするために継続して使う薬です。

検査と効果判定

喘息は症状だけでなく、呼吸機能検査やFeNOなども参考にして評価します。

SABAだけに頼らない

メプチンなどの発作時薬だけでしのぐ状態は、喘息管理として注意が必要です。

本コラムは一般的な説明です。実際の薬の使い方は、診察時の指示、処方内容、吸入手技、喘息のコントロール状態を踏まえて判断します。

喘息の薬は「毎日使う薬」と「症状時に使う薬」に分けて考えます

喘息は、気管支に慢性的な炎症があり、さまざまな刺激で気道が狭くなりやすい病気です。
そのため、治療では「苦しい時だけ広げる」だけでなく、普段から気道の炎症を抑えることが重要です。

喘息の薬は、大きく分けると、発作を起こしにくくするために継続して使う薬と、症状が出た時に使う薬に分けられます。
どちらも大切ですが、役割が異なります。

長期管理薬

喘息を安定させるために、毎日または定期的に使う薬です。
吸入ステロイド(ICS)を中心に、長時間作用性気管支拡張薬などを組み合わせることがあります。

発作時・症状時の薬

息苦しさ、ゼーゼー、咳込み、胸の重さなどが出た時に使用する薬です。
薬剤によって、使える回数や使い方に注意が必要です。

吸入薬を始める前に、できるだけ検査で確認することが大切です

咳や喘鳴があるからといって、すべてが喘息とは限りません。
感染後咳嗽、副鼻腔炎、逆流性食道炎、COPD、心不全、薬剤性咳嗽など、喘息以外の原因で咳や息苦しさが続くこともあります。

そのため、喘息が疑われる場合は、問診だけでなく、呼吸機能検査、FeNO、胸部X線、血液検査などを必要に応じて行い、
できるだけ診断の根拠を確認したうえで治療を始めることが大切です。

高血圧で血圧を確認する、糖尿病で血糖値やHbA1cを確認するのと同じように、
喘息でも「症状があるから吸入薬を出す」だけではなく、気道の状態や肺機能を確認する視点が重要です。

吸入薬は「とりあえず出して終わり」の薬ではありません

吸入薬は、診断の根拠、吸入手技、効果判定、悪化時の対応まで含めて管理してこそ意味があります。
症状だけを見て薬を出すのではなく、検査結果や治療後の変化をあわせて確認することが、喘息診療では大切です。

もちろん、症状が強い場合には治療を優先することもあります。
ただし、その場合でも、治療後の経過、肺機能、FeNO、発作時薬の使用回数などを確認しながら、診断と治療方針を見直していく必要があります。

参考:
GINA 2025 Summary Guide
Levy ML, et al. npj Prim Care Respir Med. 2023

毎日使う吸入薬の役割

喘息治療の基本は、気道の炎症を抑えることです。
症状がない日でも気道の炎症が残っていることがあり、吸入薬を自己判断で中止すると、咳や喘鳴、息苦しさが再び悪化することがあります。

吸入ステロイド(ICS)

気道の炎症を抑える中心的な薬です。
喘息の症状を減らし、発作を起こしにくくするために継続して使用します。

ICS/LABA配合薬

吸入ステロイド(ICS)と長時間作用性β2刺激薬(LABA)を組み合わせた吸入薬です。
炎症を抑える作用と気管支を広げる作用をあわせ持ちます。

ICS/LAMA/LABA配合薬

吸入ステロイド(ICS)、長時間作用性β2刺激薬(LABA)、長時間作用性抗コリン薬(LAMA)を組み合わせた吸入薬です。
病状や治療段階に応じて使われることがあります。

内服薬を併用する場合

ロイコトリエン受容体拮抗薬などの内服薬を併用することがあります。
アレルギー性鼻炎を合併している方では、鼻炎治療も重要になることがあります。

代表的な吸入薬には、シムビコート(後発品:ブデホル)、レルベア、フルティフォーム、アテキュラ、テリルジー、ビレーズトリなどがあります。
ただし、どの薬が適しているかは、喘息の重症度、吸入手技、年齢、併存疾患、費用、通院状況によって変わります。

発作時・症状時に使う薬について

息苦しい、ゼーゼーする、胸が重い、咳が止まりにくいなどの症状が出た時に使う薬を、発作時薬または症状時の薬として説明することがあります。

以前は、メプチン、サルタノールなどの短時間作用性β2刺激薬(SABA)を発作時に使うことが一般的でした。
現在は、吸入薬の種類や治療方針によって、ICS/formoterol配合薬を症状時に使う方法が選ばれることもあります。

短時間作用性β2刺激薬(SABA)

メプチン、サルタノールなどは、気管支を速やかに広げる目的で使われる薬です。
ただし、使う回数が増えている場合は、喘息そのもののコントロールが悪い可能性があります。

ICS/formoterolを症状時に使う場合

シムビコート(ブデホル)など、薬の種類と処方意図によっては、毎日の治療薬としてだけでなく、症状時にも使う指示が出ることがあります。
ただし、すべての吸入薬がこの使い方に適しているわけではありません。

メプチンなどのSABAだけでしのぐ治療は避けましょう

メプチン、サルタノールなどの短時間作用性β2刺激薬(SABA)は、気管支を速やかに広げる薬です。
苦しい時に一時的に楽になるため、ついSABAだけで様子を見たくなることがあります。

しかし、喘息の本体は気道の炎症です。
SABAだけでは気道の炎症を十分に抑えることができません。
そのため、SABAを頻回に使っている状態は、喘息が不安定になっているサインと考える必要があります。

国際的な喘息治療指針であるGINAでも、喘息をSABA単独で治療することは推奨されていません。
また、SABAの使用本数が多いほど、喘息増悪や死亡リスクが高くなることが大規模研究で報告されています。

メプチンなどの発作時薬を使う回数が増えている、夜間や明け方に症状が出る、吸入してもすぐに苦しくなる場合は、
発作時薬だけでしのがず、吸入ステロイド(ICS)を含む治療の見直しが必要です。

参考:
GINA 2025 Summary Guide
Nwaru BI, et al. Eur Respir J. 2020

ブデホルとメプチンは一緒に使ってよいのか

検索で多い疑問の一つに、「ブデホルとメプチンを併用してよいのか」というものがあります。
結論から言うと、薬の名前だけで一律に判断することはできません。

ブデホルは、シムビコートと同じ「ブデソニド・ホルモテロール」を成分とする後発医薬品です。
メプチンは、短時間作用性β2刺激薬(SABA)として使われる薬です。
処方内容によっては、シムビコート(ブデホル)を毎日の治療薬として使い、メプチンを症状時の薬として別に処方されている場合があります。

一方で、シムビコート(ブデホル)などの一部の吸入薬は、処方意図によっては症状時にも使用する指示が出ることがあります。
その場合、さらに別の気管支拡張薬をどのように使うかは、主治医の指示を確認する必要があります。

併用が想定される場合

毎日使う吸入薬と、発作時に使う薬として別々に処方されている場合があります。
その場合でも、使用回数やタイミングは処方時の指示に従ってください。

確認が必要な場合

苦しいたびに何度も吸入している、複数の気管支拡張薬を重ねて使っている、動悸や手のふるえがある場合は、早めに相談してください。

自己判断で回数を増やさないでください

メプチンなどのSABAを頻回に使う状態は、喘息が悪化しているサインのことがあります。
「吸えば一時的に楽になる」だけで済ませず、治療の見直しが必要か確認しましょう。

シムビコート(後発品:ブデホル)について

シムビコートとブデホルは、どちらも「ブデソニド・ホルモテロール」を成分とする吸入薬です。
ブデホルは、シムビコートの後発医薬品として使われています。

成分としては同じ系統の薬ですが、吸入薬では薬の成分だけでなく、吸入器の感触、吸入抵抗、粉末の出方、患者さんの吸入手技によって、使いやすさや効果の実感が変わることがあります。

同じ成分でも、吸入感が違うことがあります

吸入薬は、錠剤と異なり「きちんと吸い込めているか」が効果に大きく関わります。
吸入器の抵抗感、粉末の出方、吸い込む力、吸入後の感覚が変わると、患者さんによっては違和感を覚えることがあります。

効き方の実感に差を感じる方もいます

実際の診療でも、「シムビコートでは安定していたが、ブデホルに変わってから効き方に違和感がある」と相談されることがあります。
もちろん、すべての方に差が出るわけではありません。

違和感がある場合は、我慢せずご相談ください

ブデホルに変更後、咳や喘鳴が増えた、発作時薬を使う回数が増えた、吸えている感じがしない、以前より安定しないと感じる場合は、吸入手技を確認したうえで、先発品への変更、別のデバイスの吸入薬への変更、治療内容の見直しを検討します。

後発医薬品が合う方もいれば、吸入器や使用感の違いから先発品の方が安定しやすい方もいます。
大切なのは、薬価だけでなく、その方にとって毎日正しく続けられる吸入薬を選ぶことです。

注意したい薬の使い方

喘息の薬は、正しく使うことで効果が期待できます。
一方で、使い方がずれていると、症状が長引いたり、発作時の対応が遅れたりすることがあります。

症状がないから吸入をやめる

喘息は、症状が落ち着いていても気道炎症が残ることがあります。
自己判断で中止すると、再び悪化することがあります。

SABAだけで様子を見る

苦しい時にメプチンなどのSABAだけで対応を続けると、喘息の炎症が十分に抑えられないまま悪化することがあります。
発作時薬が増えている時は見直しが必要です。

吸入手技が合っていない

薬は処方されていても、吸い方が合っていないと十分な効果が得られないことがあります。
デバイスごとの吸い方の確認が大切です。

副作用が心配で続けられない

声がれ、口腔内違和感、動悸、手のふるえなどが気になる場合は、自己判断で中止せず相談してください。
薬や吸入方法を調整できる場合があります。

早めに受診した方がよいサイン

  • 発作時の吸入薬を使う回数が増えている
  • メプチンなどのSABAを使う日が増えている
  • 夜間や明け方に咳・喘鳴・息苦しさで目が覚める
  • 会話、階段、運動で咳や息苦しさが出る
  • 吸入しても改善が弱い、またはすぐに症状が戻る
  • 動悸、手のふるえ、胸の違和感がある
  • 風邪のあと咳だけが長く続いている
  • 薬の使い方が分からず、自己流になっている
  • 吸入薬を変更してから咳や息苦しさが増えた

強い息苦しさ、会話が難しいほどの呼吸困難、唇の色が悪い、SpO2低下、意識がぼんやりするなどの場合は、通常外来を待たず救急医療機関への受診を検討してください。

よくあるご質問

Q.ブデホルとメプチンは併用できますか?

処方意図によって異なります。シムビコート(ブデホル)を毎日の治療薬として使い、メプチンを発作時薬として処方されている場合もあります。
一方で、シムビコート(ブデホル)を症状時にも使用する指示が出ている場合は、別の気管支拡張薬をどのように使うか確認が必要です。
自己判断で回数を増やさず、処方時の指示を確認してください。

Q.メプチンを使うと楽になります。毎日使ってもよいですか?

メプチンなどの短時間作用性β2刺激薬(SABA)は、気管支を広げて一時的に症状を軽くする薬です。
しかし、喘息の気道炎症を十分に抑える薬ではありません。

SABAを頻回に使う状態は、喘息のコントロールが不十分なサインです。
研究では、SABAの使用本数が多いほど喘息増悪や死亡リスクが高くなることが報告されています。
毎日のように必要になる場合は、発作時薬だけで対応せず、吸入ステロイド(ICS)を含む治療の見直しが必要です。

Q.シムビコートとブデホルは違う薬ですか?

ブデホルは、シムビコートと同じ「ブデソニド・ホルモテロール」を成分とする後発医薬品です。
成分としては同じ系統ですが、吸入器の感触、吸入抵抗、粉末の出方、吸入手技によって、使いやすさや効果の実感が変わることがあります。

Q.ブデホルに変わってから効きが悪い気がします。

全員に差が出るわけではありませんが、吸入薬ではデバイスや吸入感の違いにより、効果の実感が変わることがあります。
咳や喘鳴が増えた、発作時薬の使用回数が増えた、吸えている感じがしない場合は、吸入手技や治療内容を確認しますのでご相談ください。

Q.吸入ステロイド(ICS)は怖い薬ですか?

吸入ステロイド(ICS)は、喘息の気道炎症を抑える中心的な薬です。
内服ステロイドとは体への影響が異なります。
声がれや口腔内の違和感を予防するため、吸入後のうがいなどが大切です。

Q.症状がなくなったら吸入薬をやめてもよいですか?

自己判断で中止しないでください。
症状がなくても気道炎症が残っていることがあります。
減量や中止を検討する場合は、症状、呼吸機能、FeNOなどを参考にしながら慎重に判断します。

Q.レルベアやテリルジーを使っている場合も発作時薬は必要ですか?

必要かどうかは病状や処方内容によります。
レルベア、テリルジー、アテキュラなどは通常、毎日の長期管理薬として使われます。
症状時に何を使うかは、処方時の指示を確認してください。

Q.吸入薬がうまく吸えているか不安です。

吸入手技は非常に重要です。
薬が合っていても、吸い方が合っていないと十分な効果が得られません。
不安がある場合は、吸入器を持参してご相談ください。

院長より

喘息の薬は、名前が似ていたり、吸入器の形が違ったり、毎日使う薬と症状時に使う薬が混在したりするため、患者さんにとって分かりにくいことがあります。

ただ、薬の名前だけで併用の可否や回数を判断するのは危険です。
大切なのは、その薬が「毎日使う薬」として処方されているのか、「症状時に使う薬」として処方されているのかを確認することです。

そして、吸入薬は「とりあえず出して終わり」の薬ではありません。
喘息らしい症状があるか、呼吸機能やFeNOでどのように評価できるか、実際に吸えているか、治療後にどう変化したか。
そこまで確認して、初めて喘息治療は安定していきます。

また、メプチンなどのSABAを使うと一時的に楽になるため、それだけでしのぎたくなることがあります。
しかし、喘息の本体である気道炎症を抑えずにSABAだけで過ごすことは、長い目で見ると危険です。
発作時薬を使う回数が増えている時は、治療の見直しが必要なサインです。

ブデホルはシムビコートの後発医薬品ですが、吸入薬では成分だけでなく、デバイスの感触や吸入手技が治療実感に影響します。
薬が変わってから咳や息苦しさが増えた、吸えている感じがしない、以前より安定しないと感じる場合は、遠慮なくご相談ください。

吸入薬を正しく使うことは、発作を減らし、日常生活を安定させるためにとても重要です。
薬の使い方で迷う場合は、吸入器やお薬手帳を持参してご相談ください。

ASTHMA / INHALER CONSULTATION

喘息の吸入薬で迷っている方へ

吸入薬は、種類だけでなく「何の目的で処方されているか」が大切です。
毎日使う薬と症状時に使う薬を整理し、自己判断で増量・中止しないようにしましょう。

シムビコート(ブデホル)、メプチン、サルタノールなどの使い方で不安がある方は、お薬手帳や吸入器を持参してご相談ください。