COLUMN / HIGH BLOOD PRESSURE & SLEEP APNEA
健康診断で「血圧が高い」と言われたら
健康診断で「血圧が高めです」と言われても、
症状がないため、そのまま様子を見ている方は少なくありません。
高血圧は、頭痛やめまいなどの症状がなくても、
脳卒中、心不全、心筋梗塞、腎障害などのリスクと関係しています。
また、高血圧は塩分だけで決まるものではありません。
肥満、飲酒、運動不足、ストレス、そして睡眠時無呼吸症候群(SAS)など、
複数の要因が重なって血圧に影響します。
福岡市早良区高取、藤崎駅・西新駅周辺から通いやすい内科・呼吸器内科です。
症状がなくても注意が必要です
高血圧は自覚症状に乏しいまま、血管や心臓、腎臓に負担をかけることがあります。
家庭血圧が重要です
診察室だけでなく、朝・夜の家庭血圧を確認することで、より実際の状態に近づけます。
SASが隠れていることがあります
いびき、朝高血圧、治療抵抗性高血圧では、睡眠時無呼吸症候群も考慮します。
本コラムは一般的な医学情報です。実際の診断や治療は、診察、家庭血圧、血液検査、合併症、睡眠の状態などを踏まえて個別に判断します。
健康診断で血圧を指摘されたら
健康診断では、緊張、睡眠不足、直前の運動、カフェイン、喫煙などの影響で、
一時的に血圧が高く出ることがあります。
一方で、健診で繰り返し血圧高値を指摘されている場合や、
家庭でも血圧が高い場合には、単なる一時的上昇ではなく、
高血圧として評価が必要になることがあります。
「症状がないから大丈夫」とは限りません
高血圧は、症状がないまま進むことが多い病気です。
頭痛やめまいがないからといって、血管への負担がないとは言い切れません。
血圧が高い状態が長期間続くことで、
脳卒中、心不全、腎障害などのリスク上昇につながることがあります。
すぐ薬が必要とは限りません
血圧の程度、家庭血圧、年齢、合併症などを踏まえて判断します。
放置してよいとも限りません
症状がなくても、血管や心臓への負担は少しずつ進行することがあります。
診察室だけでなく、家庭血圧が重要です
医療機関で測定した血圧と、家庭での血圧が一致しないことは珍しくありません。
診察室で緊張して高くなる「白衣高血圧」や、
診察室では正常でも家庭では高い「仮面高血圧」があります。
家庭血圧の目安
日本の高血圧診療では、家庭血圧が 135/85mmHg以上 の場合、
高血圧が疑われます。
治療中の方では、一般に 130/80mmHg未満 を目標に考えることが多くなっています。
ただし、目標値は年齢、合併症、ふらつきや転倒リスク、腎機能などによって調整します。
数字だけでなく、全身状態を含めて判断することが大切です。
朝の血圧は特に重要です
起床後の血圧が高い「朝高血圧」は、
心血管イベントと関連することが知られています。
特に、夜間から早朝にかけて血圧が下がりにくい場合には、
睡眠時無呼吸症候群(SAS)が背景にあることがあります。
家庭用血圧計は、上腕式をおすすめします
家庭血圧測定では、基本的には上腕にカフを巻くタイプの血圧計をおすすめします。
手首式はコンパクトで便利ですが、
手首の高さや姿勢の影響を受けやすく、
実際より高く出たり低く出たりすることがあります。
上腕式が使いにくい事情がある場合は手首式を使用することもありますが、
その際は、手首を心臓の高さに保つことや、
診察時に血圧計を持参して測定値を比較することが望ましいです。
家庭血圧は、朝と夜に、できるだけ同じ条件で測定することが大切です。
数日分の記録があると、診療の参考になります。
減塩は重要ですが、高血圧は塩分だけでは決まりません
高血圧と食塩摂取の関係は、古くから研究されてきました。
日本人の食生活では、
味噌汁や漬物だけでなく、現代のさまざまな食品から、
気づかないうちに塩分を多く摂取していることがあります。
現代の食事で注意したい塩分
塩分というと、味噌汁、漬物、干物などを思い浮かべる方が多いかもしれません。
しかし、現代の食生活では、キムチ、カレーやシチューのルウ、
ラーメン・うどん・そばなどの汁、パスタソース、インスタント食品、
カップ麺、コンビニ弁当、冷凍食品、惣菜などにも注意が必要です。
また、ハム、ソーセージ、ベーコン、チーズ、練り物、明太子などの加工食品、
ドレッシング、めんつゆ、ポン酢、焼肉のたれ、鍋の素などにも塩分が多く含まれます。
「汁を全部飲まない」「ルウやたれを控えめにする」「加工食品の頻度を減らす」など、
無理なく続けられる工夫が大切です。
ヤノマミ族の古典的研究
南米アマゾンのヤノマミ族を対象とした有名な研究では、
食塩摂取量が極めて少ない環境で、
加齢による血圧上昇がほとんどみられなかったことが報告されています。
この研究は、「人は年を取れば必ず血圧が上がる」という単純な考え方に、
一つの疑問を投げかけました。
もちろん、現代日本とは生活環境が大きく異なるため、
そのまま比較はできません。
ただ、減塩が高血圧対策の重要な柱であることを示す代表的研究の一つです。
減塩の工夫
麺類の汁を残す、加工食品を減らす、調味料をかけすぎないなど、
続けやすい工夫が大切です。
塩分以外の要因
肥満、飲酒、運動不足、ストレス、睡眠不足、SASなども血圧に関係します。
睡眠時無呼吸症候群(SAS)が血圧に影響することがあります
高血圧の背景に、
睡眠時無呼吸症候群(SAS)が隠れていることがあります。
SASでは、睡眠中に呼吸が繰り返し浅くなったり止まったりすることで、
低酸素状態や交感神経の過剰な活性化が起こります。
その結果、
夜間から早朝にかけて血圧が上昇しやすくなり、
朝高血圧や治療抵抗性高血圧の原因になることがあります。
「高血圧=塩分だけ」とは限りません
高血圧というと、
まず塩分や体重をイメージされる方が多いと思います。
もちろん減塩や体重管理は重要ですが、
睡眠中の呼吸状態が血圧に影響していることもあります。
特に、
「朝の血圧が高い」
「降圧薬を増やしても下がりにくい」
「いびきを指摘される」
といった場合には、SASの評価が役立つことがあります。
夜間の低酸素
睡眠中に呼吸が止まることで酸素が低下し、
血管や心臓に負担がかかります。
交感神経の活性化
覚醒反応が繰り返されることで、
血圧が上がりやすい状態になります。
当院では、
睡眠時無呼吸症候群(SAS)の検査・治療
に対応しています。
こんな高血圧ではSASを考えることがあります
高血圧の方すべてにSAS検査が必要というわけではありません。
しかし、以下のような特徴がある場合には、
睡眠時無呼吸症候群が隠れていないか確認する価値があります。
朝の血圧が高い
夜間から早朝にかけて血圧が下がりにくい場合、
睡眠中の呼吸状態が影響していることがあります。
薬を増やしても下がりにくい
治療抵抗性高血圧では、
SASなどの背景因子を考える必要があります。
いびきを指摘される
大きないびき、呼吸停止、寝苦しさなどは、
SASを疑う重要なサインです。
日中の眠気がある
十分寝ても眠い、集中力が続かない場合には注意が必要です。
眠気がなくてもSASのことがあります
SASでは、必ずしも強い眠気が出るわけではありません。
「眠気はないが、いびきが強い」
「朝の血圧だけ高い」
「夜間頻尿がある」
といった形で見つかることもあります。
当院での高血圧診療について
当院では、
健康診断で血圧を指摘された方や、
家庭血圧が気になる方の診療を行っています。
血圧だけでなく、
睡眠、いびき、生活習慣、合併症などを含めて総合的に評価します。
家庭血圧の確認
朝・夜の血圧記録をもとに、
白衣高血圧や仮面高血圧を考えます。
血液検査・尿検査
腎機能、血糖、脂質、尿蛋白などを確認します。
生活習慣の確認
減塩、体重、飲酒、睡眠など、
続けやすい改善点を一緒に考えます。
SASの評価
いびき、朝高血圧、眠気がある場合には、
簡易睡眠検査を検討します。
よくあるご質問
Q.健診で一度だけ血圧が高いと言われました。受診した方がよいですか?
一度だけで高血圧と決まるわけではありませんが、
家庭血圧を確認することをおすすめします。
家庭でも高い場合や、繰り返し指摘されている場合はご相談ください。
Q.血圧が高いと、必ず薬が必要ですか?
必ずしもそうではありません。
血圧の程度、家庭血圧、年齢、合併症などを踏まえて判断します。
Q.減塩だけで血圧は下がりますか?
減塩で改善する方はいます。
ただし、高血圧には肥満、飲酒、運動不足、睡眠、SASなども関係します。
Q.下の血圧だけが高いのですが、下げられますか?
下の血圧は、拡張期血圧と呼ばれます。
上の血圧がそれほど高くなくても、下の血圧だけが高いことがあります。
まずは、家庭血圧で本当に高い状態が続いているかを確認します。
測定姿勢、カフの位置、緊張、睡眠不足、飲酒、体重、運動不足などで影響を受けることがあります。
拡張期血圧が高い場合も、
生活習慣の改善や、必要に応じた降圧薬で改善を目指すことがあります。
ただし、上の血圧、年齢、腎機能、糖尿病、脂質異常症、喫煙、
睡眠時無呼吸症候群(SAS)などを含めて総合的に判断します。
Q.睡眠時無呼吸症候群で血圧が上がるのですか?
はい。SASでは、
睡眠中の低酸素や交感神経活性化によって、
夜間から早朝にかけて血圧が上昇しやすくなることがあります。
Q.いびきがある高血圧は検査した方がよいですか?
いびき、朝高血圧、日中の眠気、肥満、
降圧薬を使っても下がりにくい場合には、
SASの評価を検討します。
Q.家庭用血圧計は、手首式と上腕式のどちらがよいですか?
基本的には、上腕にカフを巻くタイプの血圧計をおすすめします。
手首式は便利ですが、
手首の位置や姿勢の影響を受けやすく、
測定値が不安定になることがあります。
上腕に巻くことが難しい場合など、手首式を使う事情がある場合は、
手首を心臓の高さに保って測定し、
可能であれば診察時に血圧計を持参して、
医療機関の測定値と大きな差がないか確認すると安心です。
Q.スマートウォッチの心電図・睡眠時無呼吸・血圧測定は信用できますか?
機能によって、信頼性の程度が異なります。
Apple Watchなどのスマートウォッチによる心電図や不規則脈波通知は、
心房細動を見つけるきっかけとして有用です。
実際、Apple Heart Studyでは、
不規則脈波通知後に確認された心房細動の陽性的中率は比較的高い結果が報告されています。
一方で、
これらは通常の12誘導心電図やホルター心電図の代わりになるものではありません。
異常を指摘された場合には、医療機関で確認する必要があります。
睡眠時無呼吸の通知機能も、
「受診のきっかけ」としては有用です。
ただし、スマートウォッチだけでSASを診断したり、
治療方針を決めたりすることはできません。
SASの診断には、
簡易睡眠検査や終夜睡眠ポリグラフ検査(PSG)などが必要です。
また、スマートウォッチによる血圧推定機能については、
将来的な発展が期待されていますが、
現時点では通常の上腕式家庭血圧計ほどの信頼性は確立していません。
そのため、診療では、
検証済みの上腕式家庭血圧計で測定した家庭血圧を重視します。
院長より
高血圧は非常にありふれた病気ですが、
ありふれているからこそ、
軽く扱われてしまうことがあります。
健康診断で血圧を指摘されても、
「症状がないから大丈夫」
「年齢のせい」
「少し塩分を減らせばよい」
と考えて、そのままになっている方は少なくありません。
もちろん、減塩は高血圧対策の基本です。
ヤノマミ族の古典的研究が示したように、
塩分摂取が極めて少ない生活では、
加齢による血圧上昇がほとんどみられない可能性があります。
一方で、現代の高血圧診療では、
塩分だけでなく、
肥満、飲酒、運動不足、睡眠、睡眠時無呼吸症候群(SAS)などを含めて考える必要があります。
特に、
朝の血圧が高い方、
いびきを指摘される方、
降圧薬を使っても下がりにくい方では、
睡眠中の呼吸が血圧に影響していることがあります。
当院は内科診療に加え、
呼吸器内科としてSASの検査・治療にも対応しています。
血圧の数字だけでなく、
その背景にある生活や睡眠も含めて丁寧に評価していきたいと考えています。
参考資料
- Ohya Y, et al. The Japanese Society of Hypertension Guidelines for the management of elevated blood pressure and hypertension 2025 (JSH2025). Hypertens Res. 2026.
- McEvoy JW, et al. 2024 ESC Guidelines for the management of elevated blood pressure and hypertension. Eur Heart J. 2024.
- Oliver WJ, Cohen EL, Neel JV. Blood pressure, sodium intake, and sodium related hormones in the Yanomamo Indians, a “no-salt” culture. Circulation. 1975.
- Perez MV, et al. Large-Scale Assessment of a Smartwatch to Identify Atrial Fibrillation. N Engl J Med. 2019.
- FDA. Sleep Apnea Notification Feature - Apple Watch. 2024.
HIGH BLOOD PRESSURE / SLEEP APNEA / INTERNAL MEDICINE
血圧が気になる方はご相談ください
高血圧は、塩分だけでなく、
睡眠や睡眠時無呼吸症候群(SAS)が関係していることがあります。
健康診断で血圧を指摘された方、
朝の血圧が高い方、
いびきや日中の眠気が気になる方はご相談ください。

