間質性肺炎は、肺の奥にある肺胞の壁やその周囲に炎症や線維化が起こり、 肺が硬くなって酸素を取り込みにくくなる病気です。 一般的な細菌性肺炎とは異なり、慢性的に進行するものもあり、 原因や病型によって診断・治療方針が大きく変わります。

当院では胸部CT検査や気管支鏡検査は行っていないため、 間質性肺炎が疑われる場合には、胸部CTや専門的評価が可能な病院の呼吸器内科へ紹介することを基本としています。 一方で、専門病院で診断や治療方針が決まった後、状態が安定している方については、 病院と連携しながら慢性期のフォローや在宅酸素療法の継続管理を行える場合があります。

間質性肺炎とは

肺は、酸素を取り込む肺胞という小さな袋が集まってできています。 間質性肺炎では、その肺胞の壁や周囲の組織に炎症や損傷が起こり、 線維化によって肺が硬くなることがあります。

肺が硬くなると、息を吸っても肺が十分に広がりにくくなり、 体に酸素を取り込みにくくなります。 そのため、乾いた咳、労作時の息切れ、呼吸困難などがみられることがあります。

原因はさまざまで、原因がはっきりしない特発性間質性肺炎のほか、 膠原病に伴うもの、薬剤性、職業・環境曝露、過敏性肺炎、放射線治療後などがあります。 原因や病型により治療方針が異なるため、専門的な診断が重要です。

このような方はご相談ください

  • 健康診断の胸部X線で「間質性肺炎疑い」「肺線維症疑い」と言われた
  • 胸部CTで間質性肺炎、肺線維症、網状影、すりガラス影などを指摘された
  • 乾いた咳が長く続いている
  • 階段や坂道で息切れを感じるようになった
  • 以前より歩く速度が落ちた、息苦しさを感じるようになった
  • 関節痛、手指のこわばり、皮疹、レイノー症状など膠原病を疑う症状がある
  • 過去に間質性肺炎と診断され、専門病院と連携した通院先を相談したい
  • 病院で在宅酸素療法を導入され、安定期の通院先について相談したい

ただし、息切れが急に悪化した場合、安静時にも息苦しい場合、SpO2が低下している場合、 発熱を伴う場合などは、急性増悪や感染症、心不全、肺塞栓症などを含めた緊急評価が必要になることがあります。

診断には胸部CTなどの専門的評価が必要です

間質性肺炎は、胸部X線だけで診断を確定する病気ではありません。 胸部CT、特に高分解能CTで肺の陰影の分布や性質を確認し、 必要に応じて血液検査、呼吸機能検査、酸素化の評価、膠原病関連検査などを組み合わせて判断します。

病型によっては、気管支鏡検査や外科的肺生検などが検討されることもあります。 ただし、すべての方に侵襲的検査が必要になるわけではなく、 年齢、全身状態、画像所見、治療方針への影響を踏まえて専門医療機関で判断されます。

当院では胸部X線、採血、SpO2測定、症状の経過確認などは可能ですが、 胸部CTや気管支鏡検査は行っていません。 そのため、間質性肺炎が疑われる場合には、病院の呼吸器内科へ紹介し、 診断確定と治療方針の判断を依頼します。

間質性肺炎にはさまざまな病型があります

「間質性肺炎」と一口に言っても、原因や病型はさまざまです。 原因不明のものは特発性間質性肺炎と呼ばれ、その中には特発性肺線維症を含む複数の病型があります。

また、膠原病に伴う間質性肺炎、慢性過敏性肺炎、薬剤性肺障害、じん肺、 放射線肺臓炎なども、間質性肺炎として評価されることがあります。 原因によって、抗線維化薬、免疫抑制薬、原因薬剤の中止、環境調整など、治療の考え方が異なります。

そのため、単に「間質性肺炎」と診断名をつけるだけではなく、 どの病型に近いのか、進行しやすいか、治療対象か、経過観察でよいかを判断することが大切です。

治療は病型と進行度によって異なります

間質性肺炎の治療は、病型、進行速度、症状、呼吸機能、画像所見、合併症によって異なります。 特発性肺線維症では、病状に応じて抗線維化薬が検討されることがあります。 一方で、膠原病関連間質性肺炎や過敏性肺炎などでは、原因や炎症の程度に応じて、 免疫抑制薬や環境調整が重要になることがあります。

また、診断されてもすぐに薬物治療を始めるとは限りません。 病状が安定している場合には、呼吸機能検査、胸部CT、血液検査、症状の変化を見ながら 慎重に経過観察することもあります。

治療薬には副作用や薬剤相互作用があり、また急性増悪や肺癌、肺高血圧症などの合併症にも注意が必要です。 そのため、治療導入や治療方針の変更は、専門病院での判断を基本としています。

九州医療センターなど、専門病院との連携

間質性肺炎では、胸部CT、気管支鏡検査、呼吸機能検査、専門的な画像評価、 必要に応じた入院評価などが重要になることがあります。 当院では、間質性肺炎が疑われる場合や治療方針の判断が必要な場合には、 九州医療センターをはじめとした、間質性肺炎の診断・治療に対応する専門病院へ紹介しています。

九州医療センターは、間質性肺炎を含む呼吸器疾患の診断・治療に対応する専門的な医療機関です。 当院でも、同院で診断や治療方針が決まった後に、 病状が安定している患者さんについて、同院と協力しながらフォローしている場合があります。

たとえば、専門病院で診断や治療方針が決まった後、病状が安定している場合には、 当院で症状確認、胸部X線、採血、薬剤副作用の確認、在宅酸素療法の継続フォローなどを担い、 必要時に専門病院へ再紹介する形で連携することがあります。

当院でできること

1. 健診異常や長引く咳・息切れの初期評価

健診の胸部X線異常、長引く乾いた咳、労作時息切れなどについて、 症状の経過、既往歴、薬剤歴、職業歴、喫煙歴、膠原病を疑う症状の有無などを確認します。 必要に応じて胸部X線、採血、SpO2測定などを行います。

2. 専門病院への紹介

間質性肺炎が疑われる場合、胸部CTや専門的な評価が必要になります。 当院では無理に診断を完結させず、九州医療センターなどの病院呼吸器内科へ紹介します。

3. 診断後の慢性期フォロー

専門病院で診断や治療方針が決まった後、病状が安定している場合には、 病院と連携しながら、症状、胸部X線、採血、副作用確認などの一部フォローを行える場合があります。 ただし、病状が進行している場合や治療調整が必要な場合には、専門病院での管理を優先します。

4. 在宅酸素療法の慢性期フォロー

間質性肺炎の経過中に、在宅酸素療法が必要となることがあります。 酸素療法の新規導入判断や、急性増悪時・呼吸不全悪化時の評価は病院で行うことが基本ですが、 専門病院で在宅酸素療法が導入され、状態が安定している方については、 病院と連携しながら当院で在宅酸素療法の継続フォローを行える場合があります。

当院でできないこと・原則として紹介する場合

  • 胸部CTによる詳細な間質性肺炎の画像評価
  • 高分解能CTによる病型推定
  • 気管支鏡検査、気管支肺胞洗浄、肺生検
  • 新規診断時の治療方針決定
  • 抗線維化薬や免疫抑制薬の新規導入判断
  • 急性増悪が疑われる場合の入院評価
  • 急速に進行する呼吸不全の評価
  • 在宅酸素療法の新規導入判断や、入院を要する酸素化低下の評価

これらが必要と考えられる場合には、速やかに専門医療機関へ紹介します。 ビル診療所である当院だけで完結させるのではなく、必要な検査と治療につなげることを重視しています。

早めに専門病院での評価が必要な症状

  • 数日から数週間で息切れが急に悪化した
  • 安静時にも息苦しい
  • SpO2が低い、または以前より低下している
  • 発熱を伴って咳や息切れが悪化している
  • 胸部X線やCTで急に陰影が悪化した
  • 血痰、胸痛、強い倦怠感を伴う

これらは間質性肺炎の急性増悪、感染症、心不全、肺塞栓症などの可能性があります。 状況によっては、外来での経過観察ではなく、病院での緊急評価が必要です。

受診時にお持ちいただきたいもの

  • 健康診断の結果
  • 胸部X線や胸部CTの結果用紙
  • 画像データが入ったCD-R
  • 紹介状
  • お薬手帳
  • 過去の採血結果、KL-6、SP-D、自己抗体などの結果
  • 専門病院で作成された診療情報提供書
  • 在宅酸素療法を使用中の方は、酸素流量や使用時間が分かる資料

過去の画像や検査結果があると、病気の進行の有無や紹介の必要性を判断しやすくなります。 在宅酸素療法を使用中の方は、現在の酸素流量や使用状況も確認します。

院長より

間質性肺炎は、診断も治療も専門性の高い疾患です。 胸部CTや呼吸機能検査、時に気管支鏡検査などを組み合わせて病型を判断し、 治療を始めるべきか、慎重に経過を見るべきかを考える必要があります。

当院では、呼吸器専門医として、疑われる段階で適切な専門病院へつなぐこと、 そして診断後の安定期には病院と連携しながら日常のフォローを支えることを大切にしています。 とくに九州医療センターなどの専門施設と協力しながら、 症状の確認、検査の継続、在宅酸素療法のフォローなど、 患者さんにとって無理の少ない診療体制を考えます。

間質性肺炎を指摘された方へ

健診やCTで間質性肺炎を疑われた方、すでに病院で診断されて慢性期フォローについて相談したい方、 在宅酸素療法の継続フォローを相談したい方は、検査結果や画像データをご持参のうえご相談ください。

ネット予約はこちら アクセスを見る

参考資料